「こんな気がする」ディランを観て第十四弾 ● 2016年4月26日
遂に東京公演最後の夜となった。
1.シングス・ハヴ・チェンジド
センターでヴォーカル。PAトラブルで歌い出しのディランのヴォーカルが聴こえずドキドキしたがすぐに対応したのだろう、荒々しく低い声で歌う声が聴こえてきた。声が出ていて気分が良いのかリズムを取りながら、今夜もヒョイヒョイと身軽に動いている。
2.シー・ビロングズ・トゥ・ミー
ディランはセンター。ラフな感じで歌い始め崩しながらもテンポ良く言葉を繰り出してゆく。自由なハーモニカ演奏とそれを上手くまとめてゆくバンドの巧みさ。見ていて愉快だ。
3.ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシング
ディランはピアノでヴォーカル。ハリがあって良い感じで歌い始め、強弱をつけながらやや崩して歌う。ピアノ演奏で同じフレーズを繰り返すが、効果絶大でバンドが驚くほどまとまってゆく。最後は立ちあがってしめた。
4.ホワットル・アイ・ドゥ
センターでヴォーカル。とても丁寧な歌い出しで正しく歌っている。歌う時の落ち着き具合とは異なり間奏になると身軽な感じでヒョイヒョイと歩く姿が微笑ましい。シセリに向けて右手を横にだし曲を終わらせる。
5.デューケイン・ホイッスル
ディランはピアノでヴォーカル。イントロの音をメンバーそれぞれが探すようにして始まりディランは気ままなピアノ演奏をしながら歌い始めたのだが、声の力強さが素晴らしい。声を使い分けながら展開してゆくとバンド演奏もまとまってゆく。最後は立ちあがってジャム風演奏に興じながらしめた。
6.メランコリー・ムード
センターでヴォーカル。チャーリーのギターが歌っているかのような錯覚を覚えるほど素晴らしい。やや崩しながら軽く歌う。ご機嫌で体が軽いのかエンディングに向けての演奏時ヒョイヒョイしながらくるりと時計回りに1回転。リセリを指さすようにしてエンディング。
7.ペイ・イン・ブラッド
センターでヴォーカル。いきなり凄みを利かせて歌い始め、そのまま歌い進む。毎回そうだが、この曲をやるとバンドのまとまりが俄然良くなる。リセリに右手で合図してエンディング。
8.アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
センターでヴォーカル。歌い出すと会場から拍手が沸き起こる。感情過多にならない様に軽く、強弱もつけながら歌う事で深みを上手に出している。最後は曲を包み込むような歌唱で終えた。リセリに右手で合図を出した後、両手を上げ<こんなもんさ>ポーズ。
9.ザット・オールド・ブラック・マジック
センターでヴォーカル。乾いた声でテンポ良く歌い綴るが、やや声がかすれている。後半にかけて荒れた声で歌うようになり、演奏と共に盛り上がって洒落たエンディングを迎える。
10.ブルーにこんがらがって
センターでヴォーカル。消え入りそうな小さな声で歌い始め、徐々に崩しながらクールな雰囲気で歌い進める。ディランの声が出てくるとグッと盛り上がる。丁寧に演奏し始まったハーモニカも独特のフレーズを繰り返す。最後はピアノから立ちあがって曲をしめた。
今夜も「みなさん、どうも、ありがとう」、と上達した日本語で挨拶してはけた。
11.ハイ・ウォーター(フォー・チャーリー・パットン)
ディランはセンター。スチュのブルージーなギターが会場を盛り上げる中、ディランは落ち着き払って軽く歌い始める。途中でヒョイヒョイといった風の動きもありながら穏やかに歌い綴ってゆく。最後は両手を上げてしめた。
12.ホワイ・トライ・トゥ・チェンジ・ミー・ナウ
センターでヴォーカル。軽いタッチで崩さずに曲のあるがままに歌うが、控え目なバッキングがいっそうこの曲を魅力的にしている。あきらめの思いが漂う出来で最後は両手を上げてしめる。
13.アーリー・ローマン・キングズ
ピアノ演奏でヴォーカル。さりげない感じで歌い始めるが凄みを利かせながら曲を進めてゆく。ディランの声が出てくるとバンドのまとまりも良くなり迫力十分に。リセリのドラムが素晴らしく最後はジャム風にまとめる。
14.ザ・ナイト・ウィ・コールド・イット・ア・デイ
センターでヴォーカル。歌の中の主人公になりきって、声をコントロールしながら歌うディラン。ディランならではの表現ができるのもこの素晴らしいバンドがあるからこそだと確信するような出来。手を広げてしめのポーズを決める。
15.スピリット・オン・ザ・ウォー ター
ピアノ演奏とヴォーカル。軽く歌い始め、やがて声を低くしてバンドの演奏を引っ張るようにして歌う。歌うにつれて力が籠ってきて、つられたように勢いあるバンドの演奏に。気ままなディランのピアノ演奏に合わせるバンド、コンビネーションに惚れ惚れする。
16.スカーレット・タウン
センターでヴォーカル。憔悴しきってやってられないといった風の雰囲気で歌が進んでゆく。凄みの利いたヴォーカルと深みを描くチャーリーのギターによって重々しい物語が進んで行く。歌の合間にステップを踏むようにしてヒョイヒョイと不思議な動きのディラン。
17.オール・オア・ナッシング・アット・オール
センターでヴォーカル。軽く歌い始めるが諦めが入り混じった歌い方で淡々と進んでゆく。バンドとの演奏と見事にマッチするヴォーカル。ヒョイヒョイ動きも登場。両手を横に広げてエンディングを迎えた。
18.ロング・アンド・ウェイステッ ド・イヤーズ
センターでヴォーカル。覚悟を決めたような歌い出しがかっこ良くてイキナリやられる。今夜は表情豊かなヴォーカルでバンドとのコンビネーションもバッチリだから歌の世界が広がってゆく。今夜のハイライトだ。
19.枯葉
センターでヴォーカル。今夜はガーニエの弾くコントラバスベースが凄く良く聴こえる。静まりかえった会場に染みわたるディランのヴォーカル。素晴らしいと思いながらも僅かな戸惑いが残っているのは私だけなのだろうか。
本編を終了し暗転、客席からアンコールの拍子が起こる。
20.風に吹かれて
ピアノ演奏とヴォーカル。静かな落ち着いた歌い出しで始まる。今夜はとても品がある出来上がりだ。落ち着き自信溢れる歌い方に無性に感動する。声がちょっと鼻にかかっているか。チャーリーのギターソロがもっとクリアに聴こえればよいのに。
21.ラヴ・シック
センターでヴォーカル。暗いステージから浮かび上がるように歌い始まるディラン。ややかすれて荒れた声で曲を引っ張ってゆく。チャーリーのギターで不思議なダンスを披露。両手を広げてどうだポーズをして終える。
ステージ中央にメンバーたちとディラン。両手を何度か広げて観客に一瞥。いつもより長い時間観客を見まわし、東京公演を終えた。
●ボブ・ディラン来日公演スケジュール
●NEW ALBUM 5月25日発売 『フォールン・エンジェルズ』
http://www.sonymusic.co.jp/artist/BobDylan/info/466738
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●来日記念盤
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