森美術館「カタストロフと美術のちから」展のこちらの「美術手帳」のレポートが素晴らしい。カタストロフ=大惨事。戦争やテロ、難民問題や環境破壊など、危機的な問題が山積する現代において、アートが大惨事や悲劇とどのように向き合い、どのような役割を果たすことができるのかを問いかける展覧会。その展示されている様々な作品を紹介しています。そして、そのクライマックスがヨーコ・オノの《色を加えるペインティング(難民船)》なんですね。
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破壊からすべてがはじまる。森美術館で6日(土)開始の「カタストロフと美術のちから」展レポートを公開 https://t.co/v4cDcCRLtv https://t.co/JeZEtfu4eD
2018年10月05日 22:29
https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/18591
この展覧会、阪神淡路大震災、東日本大震災発生を経験してる日本人にとってはあまりにも直接的に訴えかけてくる作品が多く、明確なテーマが貫いている。それらを間接的でも経験しているものにとっては、とにかくグイグイ心に突き刺さって差し迫ってくるものがあり、あの時あの瞬間を思い起こしてしまう方も多いと思いますが、忘れてはいけない何かを改めて叩きつけてくれるというか。海外の方も多く訪れていましたが、日本人はより当事者意識が働くというか、ちょっと異なる感覚を覚えるかもしれませんね。
特に目を離せなかったのが、Chim↑Pomというアーティストの映像作品「REAL TIMES」(2011)。震災から1ヶ月後、福島第一原発から約700メートルにある東京電力敷地内展望台に登頂し、白い旗に赤いスプレーで原発マークを書いて、旗を立てる、その遠く先に破壊された原発が見えるという・・・。防護服を着て、原発事故により無人化となった街から、誰もいない道路をただただ歩いていき、全く語りはなく、歩く音と息を吸う音だけが聞こえてくる映像。静寂の中、差し迫る恐怖が浮き掘りになってくる。
そんな作品群の最後にあるのがヨーコ・オノの参加型アート《色を加えるペインティング(難民船)》。この作品を完成させるのは皆さん。来場者が壁、床、船、どこにでも希望や平和のメッセージを描くことができる。描いたあと、靴を履いて、ちょっと離れたところからこの作品の全体像を見てみると、何か救われた気分になるというか、ポジティブな感覚になるというか・・・。最後にこの作品があることが非常に重要なんですね。このヨーコさんのメッセージ(NOW OR NEVERという曲の一節)を体現していくかのような、皆で一緒に何かを創りあげていくことが凄く前向きになれるんです。
「一人で見る夢は夢に過ぎないけれど 皆で見る夢は現実になるのです」
ヨーコさんらしい、一人一人が参加して何かを作り上げる参加型アート。ヨーコさんのアートに日本で参加できちゃうわけですから、こんな機会滅多にございません。 ぜひ皆さん展覧会へ行って、ヨーコさんの作品にメッセージを描きこみましょう。思い思いのメッセージを一緒に書き込んで、埋め尽くしましょう!自分が作品の一部になることで、更に忘れられない体験となると思います
来年の1月20日までやってますので。きっと何かを感じ、何かが残る展覧会ですので、是非お勧めします。ヘッドセットを借りて説明聴きながら見ると更に良かったです。
●【ヨーコの芸術を体感せよ!】森美術館『カタストロフと美術のちから展』10/6開幕!
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12409899680.html
●皆で創りあげるヨーコさんの参加型アート「難民船」がたった1日で凄いことに!@六本木森美術館
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12410448700.html
●「カタストロフと美術のちから展」
会期:2018年10月6日(土)~2019年1月20日(日)
会場:森美術館
開館時間:10:00~22:00(火~17:00)*入館は閉館時間の30分前まで
入館料:一般 1,800円、学生(高校・大学生)1,200円、子供(4歳~中学生)600円、シニア(65歳以上)1,500円
詳細:森美術館ウェブサイト https://www.mori.art.museum/jp/
東日本大震災などの自然災害、戦争やテロ、難民問題や個人的な悲劇まで、絶えず私たちを襲うカタストロフ(大惨事)。その時、美術はどのようにこれらと対峙し、どのような役割を果たすことができるのでしょうか。本展は国際的に活躍する現代美術のアーティスト40組の試みを通して、負を正に転ずる「美術のちから」の可能性についてあらためて問い直します。
<屋外展示作品>
●《WAR IS OVER 戦争は終わる》
期間:2018年10月5日(金)~2019年1月20日(日)
場所:ミュージアムコーン周辺、六本木ヒルズ内各所
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/catastrophe/06/index.html
『WAR IS OVER(戦争は終わる)』は、ベトナム戦争が激化していた1969年に、ヨーコ・オノとジョン・レノンが「WAR IS OVER “IF YOU WANT IT” Merry Christmas from John and Yoko」と描かれたビルボードを、ニューヨークのタイムズスクエアをはじめとした世界11都市で掲示し、その後も世界各地で行われているプロジェクトで、六本木ヒルズ内に掲示されている。WAR IS OVER IF YOU WANT IT!
【商品情報】
●ヨーコ・オノ『ウォーゾーン』10/24発売
2018/10/24発売 SICX-30062 (高品質Blu-spec CD2) ¥2500+税 <日本盤のみのボーナストラック1曲収録>
生誕85周年、音楽活動50周年、通算20作目となる、ヨーコ・オノ5年ぶり新作『ウォーゾーン』。今、この時代だからこそ、再び全世界へ問う、ヨーコからのメッセージ。今だからこそ、やらねばならなかった、ヨーコの魂を込めた叫びを、覚悟して聴け。世界を変えるのはまだ手遅れではない。私たちには今まで以上にヨーコが必要なのだ。
*詳細はこちら:http://www.110107.com/yoko_ono
【リンク】
●ヨーコ・オノ ソニーミュージック公式: http://www.sonymusic.co.jp/yokoono/
●ヨーコ・オノ『ウォーゾーン』特設サイト:http://www.110107.com/yoko_ono