ボブ・ディラン・ジャパン・ツアー2023総括まとめ
2023年4月6日大阪を皮切りに、大阪3公演、東京5公演、名古屋3公演と11公演を行ったボブ・ディラン・ジャパン・ツアー“ROUGH AND ROWDY WAYS” WORLD WIDE TOUR 2021-2024。4月20日の名古屋最終公演を無事終え、ひと段落ですが、せっかくなので今回のツアーのライヴ・レポートなどをまとめておきたいと思います。1978年の初来日公演から45年。今回のツアーの最終公演を持って、ボブ・ディランの来日公演回数はトータル112公演ということになりました(来日歴の詳しくはこちら)。ボブ・ディランのライヴは毎日変化して、どれ一つ同じものはなし。今回も唯我独尊、我が道を行く、決して迎合しない、進化する「最新型」ボブ・ディランの姿を日本のファンに見せつけてくれましたね。
まずはツアー発表が2月9日。4月のツアーでその2か月前発表とは驚きました。今やこれだけの大物では異例ではないかと。でも、ここ何回かのツアーと同じように、その年の一発目を日本から始めてくれたのは嬉しいですね。今年は桜には間に合わなかったかな。しかし、81歳にもかかわらず、3連ちゃんが3回も・・・びっくりでした
●ボブ・ディラン、7年振りとなる日本ツアーが4月緊急決定!
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12788432122.html
前回の日本公演とはバンド・メンバーが変わっています。
●ボブ・ディランのバンド・メンバーについて
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12797782688.html
今回ライヴはスマホ禁止、双眼鏡や単眼鏡も持ち込み禁止でした。
●ボブ・ディラン日本公演注意事項
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12797289175.html
今回の日本でのライヴについて基本的なことをざっくりと・・・
*ノーベル文学賞受賞後初の日本でのツアー(2018年のフジロックはフェスということで)。
*ほぼ開演時間にスタート。時には開演時間前にスタートしちゃうことも。
*セットリストは基本17曲(時に18曲)、約1時間40分、一気通貫で披露(途中休憩やアンコールという形はとらなかったですね)。
*ツアー・タイトルにもなっているように、2020年発表現段階のオリジナル最新作『ラフ&ロウディ・ウェイズ』のツアーということで、アルバム収録曲10曲中9曲演奏。
*これまで以上に有名曲はやらなかったですね。昔の曲は原曲のイメージを叩き壊し、過去を振り返らない大胆なアレンジ。全く新しいものを創造しているかのように曲は進化。新譜の曲まで全く違う曲のように。
*日本ツアー以前から、ほぼ固定のセットリストでしたが、4/12(水)東京2日目に突如グレイトフル・デッドのカバーを演奏。以後7夜連続デッド関連のカバーをセットリストに加え、全世界のデイラン・ファンも驚いた(「14曲目」がポイントでしたね)。
*MCは毎日2回~5回の「Thank You」とメンバー紹介(何回やるか、どこでやるかはその日のノリしだいで面白かったですね)。
*ボブ・ディランの演奏はピアノ(ちょっと小さなBaby Grand Piano)。歌う時には立ったり座ったり。「マスターピース」「エヴリィ・グレイン・オブ・サンド」でハープ吹いたり、吹かなかったり。
*バンドはディランを取り囲んで、ディランを「凝視」。ディランのピアノはあくまでも自由、一挙手一投足見逃すまいという緊張感溢れる、スリリングな感じでしたが、日増しにどんどん良くなっていきましたね。
*最後の儀式。仁王立ちで、左手を腰にあて、会場中を見回して・・・ステージの照明が落ちると去っていく(最初の頃は最後だけ白いカウボーイ・ハットってのがありましたが、いつの間にか、なくなってましたね)。
ライヴは毎日変化。同じ曲を演奏してもどれ一つ同じものは一切なし。予定調和一切なし。過去を振り返らず、曲は進化し生まれ変わる。進化、変化し続ける現在進行形「最新型」のボブ・ディランの姿を見せてくれる・・・これぞディラン・ライヴの真骨頂という感じでした。
ボブ・ディランが今回の日本ツアーで演奏したすべての曲をオリジナル・ヴァージョンで集めたプレイリストはこちらで聴くことができます(グレイトフル・デッドもあります)
●<BOB DYLAN Japan Tour 2023>セトリ・プレイリスト
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12799612848.html
それでは2023年日本ツアーの日ごとのライヴ・レポート、セットリストなどを下記に順番に並べてみましたので
【11公演のライヴ・レポート】
<大阪公演>
●DAY1:4/6(木)フェスティバルホール
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12797288051.html
*【ディランを追いかけて~菅野ヘッケル】感動の一夜:ボブ・ディラン 大阪フェスティバルホール 2023年4月6日
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12797345610.html
●DAY2:4/7(金)フェスティバルホール
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12797437658.html
●DAY3:4/8(土)フェスティバルホール
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12797345740.html
*東京公演を前に、みうらじゅん、浦沢直樹、渋谷陽一から熱い思いを寄せたコメントが到着
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12797835935.html
*今から9年前の2014年4月8日、ボブ・ディランZepp公演での珍事
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12797483417.html
<東京公演>
●DAY4:4/11(火)東京ガーデンシアター
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798097888.html
●DAY5:4/12(水)東京ガーデンシアター~デッド・トリビュート1「Truckin‘」世界初披露
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798301476.html
*グレイトフル・デッドの「トラッキン」はは『ソングの哲学』の中で取り上げた66曲のうちの1曲
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798345325.html
*【ディランを追いかけて~菅野ヘッケル】ボブ・ディラン2023年日本ツアー前半を終えて。
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798332272.html
●DAY6:4/14(金)東京ガーデンシアター~デッド・トリビュート2「Brokedown Palace」に挑戦するも失敗
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798581427.html
●DAY7:4/15(土)東京ガーデンシアター~デッド・トリビュート3「Not Fade A Way」披露
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798736532.html
●DAY8:4/16(日)東京ガーデンシアター~デッド・トリビュート4「Brokedown Palace」2度目の挑戦も失敗
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798890781.html
<名古屋公演>
●DAY9:4/18(火)愛知県芸術劇場~デッド・トリビュート5「Brokedown Palace」3度目の挑戦にして遂に完奏
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12799163935.html
●DAY10:4/19(水)愛知県芸術劇場~デッド・トリビュート6「Not Fade Away」2度目の披露
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12799396896.html
●DAY11:4/20(木)日本最終公演 愛知県芸術劇場~デッド・トリビュート7「Truckin‘」2度目の披露&「Only A River」世界初披露
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12799428524.html
*ボブ・ディランが4/20名古屋で世界初披露した「オンリー・ア・リヴァー」について
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12799550512.html
*【ディランを追いかけて~菅野ヘッケル】ボブ・ディラン日本ツアー最終日 愛知県芸術劇場 2023年4月20日
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12799545290.html
<海外でも話題に>
●昨夜のボブ・ディラン”Truckin"初披露について、米Rollingstone誌も取り上げる
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798299745.html
●米SPIN誌でボブ・ディラン日本公演のレポート掲載。
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798641103.html
●世界が注目!Rollingstone誌がボブ・ディラン日本でのデッド・トリビュートをレポート!
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798900373.html
<ちょっとイイ話>
●お小遣いはボブ・ディランのために・・・即売所で見かけた男の子。
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798958652.html
●ボブ・ディラン会場即売のお手伝い雑感~来日記念盤の浮世絵ジャケが大人気!
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12797981601.html
<ツアー中に最新作も発表>
●日本ツアー中のボブ・ディラン、最新作『Shadow Kingdom』を6月2日世界同時発売!
https://ameblo.jp/high-hopes/entry-12798417898.html
最後にボブ・ディランのライヴについて、ヘッケルさんが以前におっしゃってたことなどをいくつか。なんとなくディランのライヴが他のアーティストのライヴとは根本的に違うことがわかっていただけるのではないかと・・・
*知っている歌は少なかったけど、すごいパフォーマンスだった、感動したという方多いはず。
*ボブ・ディランのライヴパフォーマンスは、新しい未知の魅力を感じる場。思い出を確認する場ではないのだろう。
*ファンの思い出を蘇らせようと、レコードヴァージョンをライヴで再現し、ノスタルジーにすがるアーティストも大勢いる。ボブはちがう。ボブは全くノスタルジーとは無縁だ。
*観客に媚を売る気もない。ボブは、今現在の自分を歌で表現し、はたして観客に伝わるかどうか、受け入れられるかどうかを確認したいと思っているのではないか。
*本来なら観客もいっしょに歌いたいと思う曲かもしれないが、それはさせないと言わんばかりに、アレンジを変えている。本当に一緒に歌ってほしくないのかもしれない(と以前のインタビューでも見た気もする)。
*他のアーティストではお約束の大合唱とか観客に手拍子求めたり、一緒のポーズ求めたり(手を振らせたり)、一体感を演出しようとしたりするが、「予定調和」一切なし。
*ヒット曲やらないばかりか、新譜の曲まで全く違う曲のようにアレンジ。一度叩き壊して新たなものに創造してるかのよう。
*本当はどこかで誰もが「少しは・・・」とか期待してることの裏へ逆へと行ってるのに、そのパフォーマンスに圧倒されてしまう。そして最後の仁王立ち、「俺のライヴはどーや」「満足したか?」って感じの「ドヤ顔」。本当に不思議な人だ・・・。
ディランはディラン、全く変わらない。過去を振り返らない。唯一無二、孤高の存在。他のアーティストとは比べられない、比べてはいけない、全く別物なんですね。ディランのライヴはアート、芸術に触れるようなもの。現在進行形の彼の今を確認する場、ということなのではないでしょうか。
長いようで短かったディランとともに2週間。これにて11公演、無事終了。来月の5月24日で82歳ですが、なんかこのお元気な感じだと、もう一回くらい来てくれるんじゃないかな?なんて思っちゃいましたが、果たして??
皆さんもお疲れさまでした。そして、お付き合いいただき、ありがとうございました!