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ディラン新作『テンペスト』を巡る噂その8 :LA TIMES記事

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$HIGH-HOPES管理人のひとりごと(洋楽ロック)

ボブ・ディランの9月にリリースされるニューアルバム『テンペスト』について、ちょちょろ漏れ聞こえてきてます。米新聞LA TIMES記事より。http://www.latimes.com/entertainment/music/posts/la-et-ms-bob-dylan-tempest-new-album-20120801,0,5164376.story

ロサンゼルス・タイムズ紙

9月11日に発売が予定されているボブ・ディランの新作『テンペスト』は、一聴したところ1997年の『タイム・アウト・オブ・マインド』で示された復活から始まり、その後『ラヴ・アンド・セフト』(2001年)、『モダン・タイムズ』(2006年)、『トゥゲザー・スルー・ライフ』(2009年)へと続いていったアーティスティックな流れの延長線上にあるものと思われる。

今週、ディランを擁する米コロンビア・レコーズ(ソニー・ミュージック)のビバリーヒルズにあるオフィスで、ごく一握りの音楽ライターが試聴することができた。掘り下げたレヴューは後日にするとして、本記事では第一印象をご紹介しよう。

10曲からなるアルバムは、ディランがプロダクション用の変名ジャック・フロスト名義でセルフ・プロデュースしたもの。この15年間彼の作品を特色づけてきた、ハードでルーツ的な音楽のグルーヴを受け継いでいる。スタジオで彼をサポートするのは、精力的なツアー活動を共にするバンド・メンバーたち。ロス・ロボスの結成メンバー、デイヴィッド・イダルゴがアコーディオンやフィドルを数曲で披露している。

ディランの目は常に彼を取り巻く世界や、彼が認識する個人的・社会的・政治的問題に向けられている。

『テンペスト』のオープニングを飾るのは「デュケイン・ホイッスル」。昔風のカントリー・ブルース・ギターのリックのフォーキーなサウンドが静かに展開した後にバンド・メンバーが勢揃いし、この曲が探索する列車の旅のように陽気でドライヴ感のあるビートの効いたリズムを炸裂させる。また、ディラン・ファンが慣れ親しんできた曲よりも編曲に一層の焦点が当てられているであろうことを示唆する内容でもある。絶望と希望を同時に感じさせる曲の中で、メタファーの多い彼の歌詞とメロディの発展やシャープなリズムのブレイクが同居しているのだ。

不吉でミステリアスな曲調の「スカーレット・タウン」では、多彩な名を付けられた登場人物の一団がディランの曲に登場する常連たちのリストに新たに加わっている。スカーレット・タウンの街角には、アンクル・トム、アンクル・ビル、スウィート・ウィリアム、ミストレス・メアリー、そしてリトル・ボーイ・ブルーが登場するのだ。

間もなく『テンペスト』において大半の注目を集めることになるであろう曲は、恐らく終盤の3曲だろう。9分にわたる「ティン・エンジェル」は恋愛における裏切りと報復を描いた非常にストレートなバラード。絶望的なタイトル曲「テンペスト」は14分間の大作。ジェームズ・キャメロンの手がけた冗長な映画よりも力強く、タイタニック号の歴史を紐解く。そしてジョン・レノンに向けられた7分半に渡る祝福の曲「ロール・オン、ジョン」は、今はなきビートルズの曲から歌詞の断片をいくつか引き合いに出している。

しかしディランの最高傑作曲のあまりに多くがそうであるように、これらの3曲は長時間を占めるにも関わらず、ひとつの主題や解釈に到底とどまるものではない。

昔風のカントリー・ワルツとして書かれた「テンペスト」でのディランは(「ティン・エンジェル」でと同様)ロック界で最も偉大なソングライターとしての名声を築き上げるもととなった遠まわしなイメージや遊び心のあるメタファーをほぼ全体的に避け、代わりに地面に…この場合は1912年の北大西洋の凍てつく海に根ざした歌詞にしている。

それでもこの曲を構成する45章は一つ一つが感情に強く訴えかけてくる。例えばこのような感じである。

母たちと娘たちは
階段を下りると
凍てつく海に飛び込んだ
愛と哀れみが祈りを送った

ロック界の桂冠詩人の最新作に他にも語るべき点が数多くあるのは明らかである。続報をお楽しみに。


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