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Channel: HIGH-HOPES(洋楽ロック)
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アール・スリック『ザ・ネクスト・デイ』の極秘セッションについて語る

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$HIGH-HOPES管理人のひとりごと(洋楽ロック)

デヴィッド・ボウイ『ザ・ネクスト・デイ』のレコーディングに参加した、長年にわたってボウイと活動しているギタリストのアール・スリックがそのレコーディングがどんなものだったかを語ってます。そして、

http://www.rollingstone.com/music/news/q-a-david-bowie-guitarist-earl-slick-on-secret-new-album-sessions-20130125?print=true 

アール・スリック、「ザ・ネクスト・デイ」の極秘セッションについて語る

デヴィッド・ボウイはこれまで数多くのギタリストと活動してきたが、常にアール・スリックのところに戻ってきた。初めて共演したのは1974年の「ダイヤモンドの犬」(Diamond Dogs)のツアー。その後スリックはボウイとスタジオに入り、「ヤング・アメリカン」や「ステイション・トゥ・ステイション」を録音した。スティーヴィー・レイ・ヴォーンが「シリアス・ムーンライト」ツアーを土壇場でキャンセルしたときも、ボウイはスリックに声をかけた。その後長い間を経えて、2000年代初頭には「ヒーザン」と「リアリティ」のレコーディングとツアーに参加している。

ボウイがカムバック作「ザ・ネクスト・デイ」の録音にスリックを迎えたのは昨夏のことだったが、今月まではその極秘セッションに関して箝口令が敷かれていた。ようやく解禁された今、スリックがローリング・ストーンとのインタビューで新作や過去のエピソードを語る。

数年前にはボウイが二度とレコーディングしないのではと思い始めていましたか。

するかもとしないかもの間で行ったり来たりしていたね。ただ、アーティストは死ぬまでアーティストだってことは分かっていた。何か作りたいという衝動は常にあるだろうと。彼がやり尽くしたと思ったことは一度もないね。

このプロジェクトのことを初めに聞いたのはどんな風にでしたか。

去年の夏、デヴィッドから直接聞いた。電話で話していたら「スケジュールはどんな感じだ?」と訊いてきたんだ。「この辺にいるよ。何か考えているのか?」と答えた。その後話の流れで、7月にスタジオに入ることになったんだ。

第1回のセッションはどんな風に始まりましたか。

彼は俺の知らないうちに既に何曲か録音し終わっていた。俺が参加した初日は自分とデヴィッド、トニー・ヴィスコンティ、ドラマーのスターリング・キャンベルで新曲をいくつか録ったんだ。それが終わったら、デヴィッドが他の曲を断片的に聴かせながら「これとこれはどう思う?」と俺に訊いてきた。その中から何曲かピックアップしてギターを重ねたりもしたよ。
全てがカジュアルな中で行われて、グループとして曲作りをしていった感じだった。一緒に座って彼が曲をかけて、俺が何か思いついたら言うんだ。時には彼がギターでちょっとしたラフなフレーズをギターで弾いて、「こういうアイデアがあるから、好きなように発展させてくれ」なんて言われることもあったな。


レコーディングには何日間参加されましたか。

1週間だけだね。その中で自分の仕事をすべてやったんだ。

それはいつでしたか。

確か7月の最終週かそこらだったと思う。外が猛暑だったのは憶えている。

トニー・ヴィスコンティによると「ホエア・アー・ウィー・ナウ」はアルバムの他の曲と全く毛色が違うそうですが。

アルバムが最終的にどう仕上がったのかは分からないけれど、俺がプレイしたものの多くはシングルと全然違う感じだったね。

「ヒーザン」や「リアリティ」には似ていますか。どんな感じの音なのでしょうか。

あの男が同じような音のアルバムを続けて出したことは一度だってあるか分からないよ。考えてもみてほしい。「ヤング・アメリカン」から1年も経たないうちに「ステイション・トゥ・ステイション」なんだから。リンゴとミカンくらい違う。いかにもボウイらしいよ。間違いなくデヴィッド・ボウイの作品なのに、どの作品も全く似ていないんだ。勿論どのアルバムの特色も垣間見えるから、「あれは『ステイション・トゥ・ステイション』に似ているな、こっちは『ロウ』にちょっと似ているな」なんて思うかも知れない。でも全体的には、「前作とは違って聞こえるデヴィッド・ボウイの新しいアルバム」に過ぎないんだ。

何曲参加したかご存知ですか。

アルバムはまだ聴いていないけど、5~7曲くらいじゃないかと思う。ここ数日で曲のタイトルは見たけど、自分にとっては何のヒントにもならないんだ。俺が参加したときはみんな仮題だったからね。

サウンドについてもう少し説明してください。

ストーンズっぽい曲が2つあったね。「ダイヤモンドの犬」のタイトル曲も、ライヴでは特にそんな感じだった。実は俺はキース・リチャーズの大ファンだから、自分のプレイに彼のスタイルを取り入れているんだ。曲によってはリズムを弾いたものもあって、それはすごくキースっぽいね。
他の曲は全体的にボウイらしいフレーバーがあるんだ。ロックな曲もいくつかある。自分が弾いた曲の中ではアルバムに収録されなかった曲もあるみたいだけど、ミッド・テンポでR&Bに近いフィーリングのものが1曲あったな。うまく説明できないけどすごくクールな曲だったよ。(「ステイション・トゥ・ステイション」収録曲の)『野性の息吹き』(Wild Is The Wind)とほとんど同じテンポだね。その曲ではエレクトリック・ギターを弾いたんだ。


ボウイと長年活動を共にされていますが、このアルバムのプロセスに他のアルバムと違うところはありましたか

40年間変わっていないよ。沢山の人と仕事をしたけど彼が一番やりやすいね。彼は「この音を正確に、このアンプをこういう設定で使って出してくれ」みたいなこだわりがない人なんだ。そういうアーティストもいるけどね。だから俺は滅多にセッションをやらないんだ。俺は喧嘩っ早いからね。
デヴィッドと一緒にスタジオにいると、何らかのマジックが起こるんだ。だから色んなギタリストが彼とやるんだろうね。彼は俺にエイドリアン・ブリューみたいに弾くことを期待しない。エイドリアンにも俺みたいに弾くことを期待しないし、ジェリー・レナードにも…。俺がいるときは、俺が一番うまくやれることをやるために俺を必要としてくれる。「基本的なガイドラインはこれ。コードは?Gかな。よし」みたいな感じで、コントロール・ルームでエスプレッソを飲んでビスコッティをつまみながらアコースティック・ギターを少しかき鳴らして、数分話し合う。それから俺がギターを構えて、俺のプレイで二人ともハッピーになるまで弾くのさ。


大切な質問です。ライヴをやるなんてことはありますか?

そうくると思ったよ。それもまたミステリーなんだよな。バンドのメンバーは是非と思っているけどね。でもデヴィッドはいつもそうなんだけど、彼がやるときは彼がやりたいときなんだ。そのときは唐突にやってくることが多いね。だから新作を作るという話になったときもそんなには驚かなかった。彼がライヴの日程について連絡してきてもしてこなくても驚かないよ。今言えるのは、俺が知る限りツアーのプランはないということだな。

前回のツアーは十分評価されなかったかも知れませんが、とてもスペシャルなツアーでした。

今までやってきたツアーの中で…デヴィッドのツアーも自分のツアーも含めて、あのツアーが断トツで一番楽しかったね。最高のメンツだったよ。

明日彼から電話が来て「1年半くらいの大規模なツアーに出たいんだけど」と言われたらどうされますか。恐らく受けられると思いますが。

(笑)勿論!

ところで、「ステイション・トゥ・ステイション」の制作過程について色々な記事を読みますが、ドラッグ三昧のオールナイト・セッションが続くカオスなものだったようですね。あれは伝説でしょうか。

いや、全く伝説ではないよ。

一番不思議だった思い出とはどんな出来事でしたか。

すべてだよ!当時はノーマルに思えたんだけどね…ある夜なんてスタジオのブッキングもしていなかったんだ。あの頃いくつだったかって?24だったよ。LAにいて、毎晩パーティ三昧だった。ある日いつものように二日酔いでレインボー・バー&グリルにいたら、突然ローディの1人がやって来たんだ。俺のことを探し回っていたらしい。「仕事の時間だぞ」と言われたから「今午前1時じゃないか。それに俺は酔ってるんだ」と言ったら、「構わない。デヴィッドがスタジオにいる。外で車が待っている」と。酒代を払って車に飛び乗って、そのまま一晩中仕事したよ。そういうのが珍しくなかったんだ。


デヴィッドはどうやらほとんど記憶がないようですが。

俺も記憶が飛び飛びだよ。あの頃はサンセット・マーキス(・ホテル)に泊り込んでいて、宿に帰るといつも夜が明けていた。朝10時、仕事から戻りさまにバルコニーでビールを飲んでいたものさ。

Eストリート・バンドのロイ・ビタンがキーボードで参加していたのですよね。

そう。

彼はいつも真面目でプロフェッショナルに見えるので、そういうカオスの中にいる姿が想像できませんが。

何故かって?彼はニューヨークの男だから、そういうのになれているんだ。初めてロイに会ったのはニューヨークで、俺がトラックス(Tracks)か何かに在籍していたときだった。すぐに意気投合したよ。その後「ステイション」をやっていた頃、ピアニストが必要になった。デヴィッドがバンドのメンバーに誰かいないかと訊いていたから、「実はブルース・スプリングスティーンたちが俺と同じホテルに泊まっているんだ。俺の友人のロイが彼のバンドにいる。連れてこようか?」と言ったのさ。

「明日なき暴走」(Born To Run)ツアーの真っ最中ですよね。よく時間を捻出できましたね。

俺自身記憶が飛び飛びだから確信は持てないけど、確かスプリングスティーンがロキシー(ライヴハウス)で2晩やったときだったと思う。彼が「タイム」誌や「ニューズウィーク」誌の表紙を飾っていた頃だ。彼の人気が爆発する一方で、ロサンゼルスにも暫くいたんだ。みんな同じホテルに泊まっていた。記憶が飛び飛びだから、ロイが1日か2日しかスタジオに居なかったかどうかは分からないけど。

パーフェクトなアルバムになりました。素晴らしいですね。

色んなアルバムでプレイしたけど、あのアルバムは今でも俺のお気に入りの一つだね。クレイジーだったしあまりはっきり憶えていない部分もあるけど、残っているのはいい思い出だから。(笑)あのアルバムのことを考えるといい気分になれるから、楽しかったに違いないよ。


DAVID BOWIE『THE NEXT DAY』
デヴィッド・ボウイ/ザ・ネクスト・デイ

2013年3月13日発売 日本盤は解説・歌詞・対訳付
$HIGH-HOPES管理人のひとりごと(洋楽ロック)

●「デラックス・エディション」:SICP 30127 ¥2,800
【Blu-spec CD2仕様(日本のみ)】デジパック仕様/ボーナストラック3曲/+日本盤ボーナストラック1曲/全18曲収録(1CD)
●「スタンダード・エディション」:SICP3788 ¥2,520
デジパック仕様/日本盤ボーナストラック1曲/全15曲収録(1CD:こちらは通常のCDになります。ジュエルケースでこれまでご案内しておりましたが、こちらデジパック仕様に変更となりました)
●iTunes Storeにて新曲「ホエア・アー・ウィー・ナウ?」配信中/アルバム予約受付中
https://itunes.apple.com/jp/album/the-next-day-deluxe/id590844404


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