
2月8日(金)LAで行われた、2013年の「ミュージッケア・パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選出された、ブルース・スプリングスティーンを讃えるトリビュート・コンサート。ブルース・スプリングスティーンのオフィシャル・サイトにも掲載された、BILLBOARD.COMのレポートです。
http://brucespringsteen.net/news/2013/bruce-springsteen-honored-as-musicares-person-of-the-year
BRUCE SPRINGSTEEN HONORED AS MUSICARES PERSON OF THE YEAR
ブルース・スプリングスティーンがロサンゼルスのコンヴェンション・センターでミュージケア・パーソン・オブ・ジ・イヤーとして讃えられた金曜日の夜、彼の力は音楽を超えた部分にまで及んだ。彼自身や他のミュージシャンによる演奏が始まる前から、スプリングスティーンは、自分のサイン入りギターのオークションの最中にステージに立った。
そのギターがオーディエンスの中にいたスター達に回され、彼らがサインをしていくなかで、入札額が跳ね上がっていく様は実にスリリングだった。ケイティ・ペリーやエミルー・ハリス、ティム・マッグロウらが名前をブロンドのフェンダーに走り書きし終える頃には、その額は約7万ドルに達しているようだった。
スプリングスティーンは、そのギターを手に持ち、マイクを握ると自分で競売人の役を務め始めた。まず彼が、落札者には1時間のギターレッスンを行なうと言うと、それだけで入札額は10万ドル台にまで一気に上昇した。それから、彼のハーレー・ダヴィッドソンのサイドカーに乗れるというおまけも加えられ、コンサートチケットや、バックステージパス、遂にはスプリングスティーンの母親によるお手製ラザーニャまでが加わった。スプリングスティーンの母は、イベントには出席していたが、やって来てそんなことは聞いていませんよ、とスプリングスティーンとやり合ったりはしなかった。最終的な落札は、25万ドルを提示したニュージャージーの幸せな女性であった。
オークションの際もスプリングスティーンには惹きつけられたが、思いと熱のこもったスピーチと、その夜最後にレコード協会のCEOニール・ポートナウからトロフィーを受け取った時には敵わなかった。この日の司会は、『ザ・デイリー・ショー』のジョン・スチュワートが務めた。
スプリングスティーンは、絶えずミュージシャンたちに言及し、社会の他の部分からは彼らが少し外れているということを口にした。
「彼らはいつも探求している人々。生まれながらに道を見失う運命だが、ある時突然、家路を見出す。偉大でありたい、他の人の人生の中で重要な存在でありたい、私にとって大切なのはそうしたことだけだ。あなた方の存在が、授かった才能に再び火をつけるような力を探求するように私たちを促してくれる」。
スプリングスティーンが5曲のセットに取り掛かる前に、彼の15曲が他の人々によって演奏された。キャンプファイアを囲んでいるような気分になる力強いバンジョーを奏でるマムフォード・アンド・サンズの“I’m On Fire”から、マイ・モーニング・ジャケットのジム・ジェームズとレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロ(スプリングスティーンの近年のコンサートにしばしば登場)による刺激的なギタープレイを聴かせる “Ghost of Tom Joad”まで様々なパフォーマンスが見られた。
「ジョン・レジェンドの演奏は、私の曲をガーシュウィンのようにしてくれた。ニール・ヤングはまるでセックス・ピストルズのように。今夜、私はミュージシャンであることを誇りに感じている」。
スプリングスティーンがフェンダー・テレキャスターのストラップを肩にかけ、グラミー賞にノミネートされている『レッキング・ボール』からの2曲と、3曲の代表曲で場を沸かせる前には、彼の曲の中でも落ち着いたものが演奏された。
ケニー・チェズニーは、“One Step Up”から一切の装飾をはぎ取ったような演奏をし、その歌詞の素晴らしさを浮き彫りにした。それとは対照的に、ジョン・レジェンドの“Dancing in the Dark”は、独自のアレンジをふんだんに施したもので、ロマンスが手の届くところにあることと、感情が失われていることというこの曲の広がりを強調していた。ジム・ジェームズとトム・モレロの“Tom Joad”は、切り裂くようなギターの楽園と化し、スタンディング・オベーションを巻き起こした。それは、その後のジャクソン・ブラウンやパティ・スミス、メイヴィス・ステイプルズの演奏でも続いた。
ニルス・ロフグレンはその晩、始めからハウス・バンドのギタリストに起用されていたが、スプリングスティーンがステージに上がる時には、更に数人のEストリート・バンドのメンバーが加わった。ドラムのマックス・ワインバーグ、キーボードのロイ・ビタン、ベースのゲアリー・タレント、そしてリズム・ギターを務めるスプリングスティーンの妻パティ・スキャルファだ。すべてが終わった午前1時頃、 “Thunder Road,” “Born to Run,” “Glory Days”を次々に歌うという機会を思う存分楽しんだ後で、オーディエンスやミュージシャンたちの間には、笑顔が溢れていた。(フィル・ギャロ/ billboard.com)
MusiCares Set List:
Alabama Shakes, “Adam Raised a Cain”
Patti Smith, “Because the Night”
Ben Harper, Natalie Maines, Charlie Musselwhite – “Atlantic City”
Ken Casey (Dropkick Murphys), “American Land”
Zac Brown and Mavis Staples, “My City in Ruin”
Mumford and Sons, “I’m on Fire”
Jackson Browne and Tom Morello, “41 Shots (American Skin)”
Emmylou Harris, “My Hometown”
Kenny Chesney, “One Step Up”
Elton John, “Streets of Philadelphia”
Juanes, “Hungry Heart”
Jim James and Tom Morello, “Ghost of Tom Joad”
John Legend, “Dancing in the Dark”
Sting, “Lonesome Day”
Neil Young and Crazy Horse, “Born in the USA”
Bruce Springsteen, “We Take Care of Our Own,” “Death to My Hometown,” “Thunder Road,” “Born to Run”
Ensemble, “Glory Days”